妊婦の食事
妊婦の食事というとかなり誤解を受けている面があります。妊婦の食事について考えてみました。
まず一番多い誤解は、妊婦は2人分の食事をとるぐらいの心構えで食事をしなくてはいけない、といったようなものです。つまり、自分の栄養と赤ちゃんの栄養は全て自分がとる食事から補給されるので、2人分の食事をとって出産に備えようということですね。特に、あまり出産に対して知識のない男性とか、あるいは子供が成人したような年代の女性、つまり今の妊婦さんの姑さんなどはこのような誤解を未だにしている人も多いようです。
しかし、実際には今の妊婦さんには厳しい食事のコントロールが求められています。毎月の定期健診において体重の増加は必ずチェックされ、増えすぎだと食事をとりすぎではないか、バランスがおかしくないか、等、かなり厳しく注意されるのが現状です。というのも、妊娠中、特に安定期と呼ばれる妊娠中期の体重の増えすぎは、出産のときに赤ちゃんが出てくる産道とよばれるところが狭くなる原因のひとつになります。その結果として、出産がスムーズにいかず難産になってしまったり、最悪の事態としては、赤ちゃんに後遺症が残ったり、妊婦さんに命の危険が迫るということにもなりかねません。妊娠中の太りすぎは恐ろしい結果を招くため、妊婦の食事も厳しくチェックされ、コントロールを指示されるというわけです。これが分かってもらえないために、必要以上の食事量を姑さんから強要され、産婦人科のお医者さんと板ばさみになっている妊婦さんも少なからずいるようです。また、果物は体によいからと多めに食べるように促す人もいますが、果物は特に糖分を多く含むため、りんごなら4カットから6カットした一切れ程度、みかんなら一日1個といった具合に制限されることもあり、注意が必要です。
また、妊婦になると食事の嗜好が変わるということもあり、妊娠中の食事は特別なものでなければならない、といったことを言う人もいますが、特に根拠のあるものではありません。妊婦の食事に対する嗜好の変化というのは一律のものではありません。酸っぱいものが食べたくなる、とか、ご飯の炊き立ての匂いがダメ、といった、多くの人に見られる傾向というのはありますが、それとて全ての人が経験するものではないですし、他のものは食べられないのに肉だけはガツガツ食べられるといった人もいます。むしろ普段の食事の嗜好がさらに強調されただけではないかということも見受けられます。
妊婦の食事はバランスのよいものではないといけない、というのは確かに正しいです。必要十分な栄養を定期的な食事からとっていくということで、赤ちゃんの正しい成長も促され、妊婦の健康も保たれます。しかし、実は妊婦がとるべき食事というのは、健康な成人女性なら同じような食事を食べることがすすめられる程度の内容のものでしかありません。特に現代社会で食事が不規則で栄養バランスも偏ってきていること、サプリメントなどで栄養補給をする人も増えていることなどから、特に薬の服用などに注意の必要な妊婦の食事バランスが厳しく言われているだけのこと、という側面もあるのです。
普段から正しい食生活をしておけば、妊婦の食事だからといって特に気をつけることもなく、普段どおりのバランスよい食事を作ればよいということになります。